日商簿記2級に最短で合格するには?取るべき戦略や勉強法、スケジュールを解説

日商簿記2級に合格するまでに最短でどのくらいの期間がかかるのだろう?

日商簿記2級に合格するためには、どの程度の勉強時間が必要?

日商簿記2級は3級の上位級であり、難易度も上昇するため、合格までの所要期間が読めないですよね。

合格までの目安時間が分からず取り掛ってしまって、モチベーションが継続できず、途中で断念してしまう人も少なくありません。

結論から言うと、日商簿記2級の合格に必要な勉強時間は約250時間で、コツコツ勉強し続けると半年未満で合格できます。

普段簿記を使うことのない営業職の私でも、毎日1時間勉強し続けたら、半年かからずに2級に合格しました。

1日の勉強時間を増やせれば、3ヶ月未満での合格も夢ではありません。

そこでこの記事では、日商簿記2級に最短合格するための戦略とともに、合格に必要な勉強時間や効率的な勉強法を順番にお伝えします。

この記事を読み終わる頃には、日商簿記2級合格に向けた勉強の道筋が整理されて、本格的に取り組み出せるようになります。

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日商簿記2級に最短合格するための戦略

日商簿記2級に最短合格するための戦略

日商簿記2級に最短合格するには、ネット試験で80点を取ることを目指す戦略が有効です。

日商簿記2級検定試験の問題は、パターン化していて対策が取りやすい問題が明らかです。

また、試験形式もネット試験が選択できるようになったことで、実質的に受験日の縛りがなくなりました。

合格条件から逆算をして、効率的に得点できる分野の対策に力点をおき、あなたの都合で受験可能なネット試験を受験する前提で準備を進めましょう。

日商簿記2級検定試験の合格条件

日商簿記2級検定試験は、100満点で70点以上であれば合格です。

試験科目試験時間合格基準
商業簿記・工業簿記 5題以内90分70%以上
参照:商工会議所の検定試験「簿記2級 試験科目」

満点を取る必要も、上位数%の順位に入る必要はなく、失点を30点以内におさめられれば合格です。

日商簿記2級検定試験に向けて準備を進める場合、70点以上の効率よい得点を念頭に入れましょう。

日商簿記2級検定試験の点数構成

日商簿記2級検定試験の配点は商業簿記が60点、工業簿記40点で構成されています。

領域設問内容配点
商業簿記60点第1問仕訳20点
第2問個別論点
(連結精算表など)
20点
第3問決算関連20点
工業簿記40点第4問仕訳
個別/総合原価計算など
28点
第5問直接/総合原価計算など12点

日商簿記2級検定試験の問題の特徴として、工業簿記の問題はパターン化されていて、商業簿記よりも対策が取りやすく、40点満点も狙いやすいです。

また、商業簿記の中でも第1問の仕訳問題は、第2・3問よりも比較的問題形式が定型化されています。

そのため、第1・4・5問で満点を目指し、第2・3問で正答率50%以上を獲得し、合計80点程度で着地することが最短合格の戦略です。

日商簿記2級検定試験の種類

最短合格を目指すなら、年間約300日の受験チャンスがあるネット試験での受験は欠かせません。

ネット試験比較項目統一試験
パソコンへの入力試験形式答案用紙への記入
全国140超の会場で原則いつでもどこでも試験日程/場所年3回の特定日時と場所
即時試験結果判明実施の商工会議所によって異なる

ネット試験は従来型のペーパー試験形式である統一試験と比べて、試験日が圧倒的に多く、結果もその場で発表される即時性が特徴です。

早く合格するためには、早く試験を受験して、早く結果を得ることに限ります。

ネット試験はこの2つの要素を兼ね備えています。

ここから先の本記事では、ネット試験を受験する前提で解説していきます。

最短合格を狙うならば、受験日程に縛られにくく、すぐに結果を得られるネット試験を受験しましょう。

日商簿記2級合格に必要な勉強時間

日商簿記2級合格に必要な勉強時間

日商簿記2級合格に必要な勉強時間の目安は250時間程度です。

日商簿記2級対策の勉強は3つのフェーズに分かれます。

インプット期に試験範囲の大まかに理解し、アウトプット期で内容理解と処理速度向上に努め、試験直前期で試験に向けて仕上げていきます。

  • インプット期 :  40時間
  • アウトプット期:170時間
  • 試験直前期  :  40時間

この中で特に重要なフェーズが、試験範囲の理解と試験時間内に解くために必要な解答速度の向上に直結する、アウトプット期です。

ただし、この目安時間は日商簿記3級に合格した人が、3級の合格から間を空けずに取り組むケースを想定しています。

日商簿記2級の勉強をするときには、今自分がどの局面にいるのかを意識して取り組みましょう。

インプット期に必要な勉強時間

インプット期にかける時間の目安は40時間です。

ここに時間をかけない理由は、テキストを一読するだけで理解するのは難しく、問題演習や復習を行うアウトプット期に理解を進める方針が効率的だからです。

そのため、インプット期は日商簿記2級における試験範囲の一通りの把握を目的にします。

インプット作業は参考書やテキストはもちろんですが、無料や少額で視聴可能な講義動画を利用すると、スキマ時間に少しずつ進められて効率的です。

例えば、YouTubeで人気の日商簿記講義動画や、私が実際に利用したUdemy講義動画の時間を合計すると、30〜40時間に収まります。

日商簿記2級講義動画講師所要時間
【簿記2級 商業簿記】2023年度試験以降版【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき 約25時間
(メンバー限定動画も含めると約30時間)
スキマ時間で!ビジュアル簿記2級【商業簿記編】
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インプット期はあくまで試験範囲全体を把握することを目的とし、深い内容理解は問題演習を主とするアウトプット期に進めましょう。

アウトプット期に必要な勉強時間

アウトプット期に必要な勉強時間の目安は170時間です。

アウトプット期の目的は、試験範囲の網羅的な理解とともに、問題解答速度の向上です。

そのため、アウトプット期は大きく2つの局面に分かれます。

局面目的目安時間
アウトプット期前半商業・工業簿記における理解不足の撲滅100時間
アウトプット期後半試験時間内で解答できる処理速度の習得
ミスしやすい分野の洗い出しと復習
70時間

前半は、問題演習と復習を何度も繰り返し、単元の内容の理解と記憶定着を図ります。

  1. 試験範囲である商業・工業簿記を単元ごとに問題を演習
  2. 理解不足の単元部分のテキストや動画の再確認
  3. 数日空けて、改めて問題を解き、理解不足であれば「2」に戻る

後半は、試験問題に取り組み、90分で解ける解答速度の獲得とミスしやすい分野の解消を図ります。

  1. 過去問題・模擬問題を解く(90分を超過しても最後までやる)
  2. 間違った箇所をピンポイントに復習
  3. 別の過去問題・模擬問題を解き、その後、「2→3」を繰り返す

アウトプット期の濃度が、試験範囲の理解と解答速度の向上に大きく影響するため、ここに最も時間をかけることがポイントです。

試験直前期に必要な勉強時間

試験直前期に必要な勉強時間の目安は40時間です。

試験直前期の目的は、受験するネット試験の傾向を頭に刻み込み、パソコンでの回答を円滑にできるよう慣れることです。

そのため、試験予想問題を本番と同じ90分で解き、間違った箇所をピンポイントに復習するまでを1回の勉強(最大2時間)にします。

ここでのポイントは、ネット試験対応のプログラム付きの市販の予想問題集を準備しておき、ミスをしなくなるまで何度も繰り返すことです。

私は、パソコンで本番同様に模擬試験を試せるスッキリうかる日商簿記2級 本試験予想問題集シリーズを活用しました。

そして、5回分のネット試験用模擬問題を1周として4周したため、2時間/回 × 5回/周 × 4周=40時間かけて、仕上げました。

ネット試験は、試験ごとの試験の難易度や内容の変動が小さくなるよう設定されているため、奇問難問の出題確率は低いです。

そのため、市販の予想問題を活用して、出題傾向や問題のパターンを記憶・理解する時間を確保して、試験当日に慌てないようにしましょう。

日商簿記2級を効率的に合格するための勉強法

日商簿記2級を効率的に合格するための勉強法

日商簿記2級に最短で合格するためには、効率的に試験範囲の内容を理解して、1回で合格する確実性が重要です。

そのために求められる勉強法は以下の3要素です。

  • 効率的に試験範囲の内容を把握する
  • 問題演習と質問で学習内容の理解を早める
  • 記憶を定着させて解答速度を上げる

3要素の意味・効果を理解して、実践できれば、自ずと最短合格の道筋が見えてきます。

効率的に試験範囲の内容を把握する

日商簿記2級の内容を覚えるためには、テキストを読むよりも2倍の学習効果がある、動画を視聴する勉強方法が効率的です。

参考:平均学習定着率が向上する「ラーニングピラミッド」とは?

インターネット利用前提の社会になり、YouTubeなどの配信動画や講義動画を提供する通信講座サービスなど、動画での勉強教材が整っています。

さらに、スマホを活用すれば、移動中の電車の中や何かの待ち時間など、スキマ時間を有効活用して勉強を進められます。

そのため、スマホがあればいつでもどこでも学習でき、かつ学習効果の高い動画を視聴すれば、非常に効率がよいインプット学習が可能です。

ただし、日商簿記の試験範囲が年に1回更新されるため、必ず最新の試験範囲に準拠している教材を利用しましょう。

質問と問題演習で学習内容の理解を早める

問題演習を行い、不明点を質問すると、学習内容の理解を更に効率化できます。

問題演習と、アウトプットの多さや理解が不十分での質問行為には、学習内容の理解を高める効果があることが証明されています。

参考:Japanese Journal of Educational Psychology「質問作りが説明文の理解に及ぼす効果」

参考:Science「The Critical Importance of Retrieval for Learning」

読んだり視聴したりして学んだ内容の理解度を確認をする方法の中で、問題を解くことが最も効率的なやり方です。

問題を解くことで、理解不足の分野が明確になり、復習も無駄なく実施できます。

このサイクルを繰り返すと、確実に理解不足分野を減らしていくだけでなく、学習を繰り返すことで記憶も定着し、忘れにくくなります。

また、質問行為は、質問するために理解している断片的な用語や情報を頭の中で筋道立て整理するため、学習内容の理解や整理に効果的です。

質問行為で、分からないことが明らかになり、回答を得られれば、確実に不明点を解消できます。

要するに、質問が理解範囲を広げ、理解を深めることに繋がります。

問題を解き、質問をするアウトプット作業量を増やして、学習内容の理解を効率的に進めましょう。

記憶を定着させて解答速度を上げる

試験問題を見たら悩むことなく解答できるまで、学習内容を記憶に定着させておくことが欠かせません

90分の試験時間では、問題をかみしめるように悩む時間の猶予はないためです。

記憶の定着に最も効果的な方法は、短期間での複数回の反復演習です。

参考:Curve of Forgetting

例えば、日商簿記2級の工業簿記部分は問題形式がパターン化されているため、出題パターンが頭に入っていれば高得点を得られます。

また、ネット試験の場合、ネット試験特有の解答手順に慣れていることも不可欠です。

そのため、受験予定の試験と同じ問題かつ解答形式の問題を繰り返し解くことは、問題形式の記憶と解答作業と円滑化に効果的です。

効率的に問題解答できれば、試験時間内に見直しもできるようになり、不意なミスによる失点も回避できます。

日商簿記2級検定試験に合格するには、解答内容の正確性に加えて、解答作業の効率性の高さが不可欠です。

それゆえ、頭と手に解答までの道筋の記憶を定着させるべく、問題演習を何度も反復実践しましょう。

日商簿記2級合格までの勉強スケジュール

日商簿記2級合格までの勉強スケジュール

日商簿記2級合格に必要な勉強時間の目安250時間を社会人が無理なく進めた場合、予定の最短合格タイミングは勉強開始から6ヶ月後です。

局面完了目標タイミング試算前提
インプット期勉強開始から1ヶ月後平日1時間、土日2時間の勉強を想定
40時間 ÷ 9時間/週≒4週間
アウトプット期勉強開始から5ヶ月後平日1時間、土日2時間の勉強を想定
170時間÷ 9時間/週≒18週間
試験直前期勉強開始から6ヶ月後模擬試験1.5時間+複数0.5時間の勉強を想定
40時間 ÷ 14時間/週≒3週間

社会人が多忙な平日の中で、まとまった勉強時間として捻出可能な現実的な時間は1時間程度です。

私の経験も踏まえると、早起きや、残業時間を短縮して早めに帰宅することなどを想定すると、1時間を捻出するのも決して楽ではありません。

一方で、通勤時間が片道1時間とすると、最大で往復2時間を勉強時間に当てられます。

通勤中にスマホで講義動画を見たり、専用アプリで仕訳問題の演習したりすれば、机の前でなくても勉強でき、1日の勉強時間を増やせます。

通勤時間等のスキマ時間をフル活用すると、合格までの所要期間の大幅短縮が可能です。

日商簿記2級は、勉強開始から6ヶ月後が合格目安時期ですが、やり方次第では3ヶ月での合格も夢ではありません。

勉強時間をやりくりして、最短での合格を目指しましょう。

まとめ:日商簿記2級は最短で6ヶ月以内に合格可能

まとめ:日商簿記2級は最短で6ヶ月以内に合格可能

この記事では、日商簿記2級を最短で合格するためのポイントを解説しました。

  • 工業簿記の設問を確実に正解して70点以上の獲得が、最短合格の近道
  • 日商簿記3級合格している前提だと、日商簿記2級合格に必要な勉強時間の目安は250時間
  • インプット→アウトプット→直前対策の3局面を順番に進めるのが効率的な勉強法

日商簿記2級は少なくとも6ヶ月以内に合格を目指せる検定試験です。

確かに、日商簿記2級は3級と比較すると、試験範囲が広がり、難易度も高まります。

特に2級から登場する工業簿記は、問題形式はパターン化されているため、問題演習でパターンを把握すれば怖くありません。

また、今回ご紹介した勉強法は脳の習性を勘案した誰でも取り組める方法で、私はこの方法により5ヶ月弱で2級に合格できました。

つまり、簿記を日々活用していない人でも、やり方を間違えなければ、日商簿記2級に短期間で合格可能なのです。

あなたが、日商簿記2級に向けた勉強を計画しているならば、ご紹介の勉強法で取り組むことをおすすめします。

奇手妙手に頼らず、着実に勉強を積み重ねて、最短での合格を実現しましょう。

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